・導入事業者:こまち農業協同組合
・職員数:216名
・導入日:2025年4月
・担当:新広域集出荷所 大友様、佐々木様
JAこまちは、秋田県湯沢・雄勝を源流とする雄物川やその支流の恵みを受け、米と野菜、果樹、花・畜産まで多彩な農畜産物を育む複合産地として、地域とともに歩んでいます。平成10年に総合11JA、専門1JAが結集して誕生して以来、安全・品質を支える技術と生産の履歴管理を通して、統一感のある産地づくりを推進しています。第9次中期計画では「食と農を基軸とした総合サービス」の提供を掲げ、「持続可能な農業」「安心で豊かな地域社会」「強いJAづくり」を3本柱に、地域の未来を見据える取り組みを続けています。
「nimaruJA導入前は、生産者の出荷状況を当日まで把握できず、職員側が事前に準備を行うことが困難でした。市況情報や集会案内も紙やFAXでまとめていたため、情報の伝達に手間と遅延が発生していました。特に大変だったのは、複数の集荷拠点の荷受状況の把握と集計です。電話やFAXベースで状況を確認し、手作業で集計していたため、業務負荷が非常に大きい状態でした。」
「そして何よりも、電算システムへの入力作業は大きな負担でした。品目によっては1日に数百件ものデータを、担当者が数時間かけて入力し、さらに間違いがないか確認する作業が必要でした。例えばキュウリの場合、再盛期には1人で500~600件ものデータを、以前は1~3時間かけて入力し、印刷してダブルチェックを行っていました。」
「nimaruJA導入にあたっては、短期間での全拠点運用を実現するため、各地区にnimaruJA推進担当者を配置し、また職員だけでなくパート職員も巻き込んでnimaruJAの運用を推進しました。組合内で独自のnimaruJA操作マニュアルを作成、またnimaruJA上のチャット機能も活用することで、職員間での運用スキルやノウハウを積極的に共有し、現場でのnimaruJA運用を後押ししています。」
「まず、生産者がスマートフォンから集荷場への持ち込み前に出荷連絡を行うことで、当日の荷受数を事前に把握できるようになり、集荷場における準備体制を整えられるようになりました。また検品実施後の荷受数量が自動で集計されるようになり、各集荷拠点の荷受状況をnimaruJA上でリアルタイムに把握できるようになりました。これにより、これまで電話やFAXで行っていた拠点間の情報連携にかかる負荷が大幅に削減されただけでなく、nimaruJA上で双方のデータ共有が可能になったことで、本店と集荷場間の伝票送付業務が不要になる等、ペーパーレス化も進みつつあります。」
「そして、最も大きな変化があったのが、電算システムへの入力業務です。nimaruJAから出力したCSVデータを電算システムにアップロードするだけで、これまで数時間かかっていた入力業務が数分程度に短縮されました。これはnimaruJAを導入して一番業務が短縮され、統一化できた点だと感じています。」
「生産者との関係性においては、市況情報や集会案内を生産者のスマートフォンへタイムリーに情報配信できるようになったことも大きいです。特に若い生産者からは高評価をいただいています。紙やFAXだと『どこにいった?』となりがちでしたが、履歴も残り、スマホでいつでも確認できるようになったのは生産者の方々にとっても非常に大きい変化だと思います。」
「nimaruJAはアナログな現場業務のDX化を推進し、業務効率化と可視化を同時に実現できるツールではありますが、導入にあたっては組合内での推進体制をしっかりと構築する必要があると思います。運用開始から3ヶ月半が経過して導入に手応えを感じております一方、まだまだ各職員のnimaruJA操作にあたっての習熟度に差があり、それに伴って一部の職員に業務負荷が高くなっている状況にあります。今はピーク時で忙しく、一つ一つを調整していくのは難しい面もありますが、いずれシステムと組織の両面から振り返りを行い、一つ一つ調整していきながら業務負荷の平準化を含めた改善をしていきたいと考えています。また複数拠点からの集荷データを合算して表示する機能など、機能上の改善要望もありますので、そこはkikitoriと適宜情報共有を行いながら運用を進めていきたいと思います。」